奈良のお米
―秋津穂―
20年以上にわたり、このお米を使い続けることで私たちのお酒造りにはなくてはならないお米になりました。秋津穂はまさに「風の森好適米」と言うことができます。
名前の由来は、古くは日本の国の意味にも用いられた「秋津島」と、イネの「穂」から名付けられました。アキツとはトンボの古い呼び名です。地元御所にはこの名を冠した都跡があります。六代孝安天皇の宮を『古事記』は『葛城室之秋津嶋(かつらぎむろのあきつしま)』『日本書紀』は『都を室(むろ)の地に遷(うつ)す。これ秋津島宮という』と記しています。このようなご縁もあることが、原料米として秋津の名を冠した秋津穂に私たちが取り組み続ける理由の1つでもあります。
地元をはじめ様々な地域の酒販店の皆様、ファンの皆さまのご協力もあり、風の森というお酒は1998年に生まれました。その頃、地元の ”風の森峠” 付近の美しい棚田で広く生産されていたお米が秋津穂なのです。この秋津穂を使って、お客様に気軽に日本酒を楽しんで頂けるよう、搾ってそのままのイキイキとした生酒を提供したいというのが、風の森の基本コンセプトです。当時のコンセプトそのままに現在も酒造りを行っております。
現在、風の森の代表的な原料米として使用している奈良県産秋津穂はその全量を地元奈良県の約30軒の契約栽培農家の皆さまに生産をしていただいております。秋津穂は奈良県の気候風土に非常に適しており、昭和40年代より広く生産されていたお米です。中山間地での栽培適性も高く、現在の契約栽培エリアもほとんどが中山間地域です。
ヤマビコと日本晴をかけ合わせた品種で、玄米の粒の大きさは日本晴より大きく、中大粒であり、光沢があるのが特徴です。食味だけでなく醸造適性も非常に高く、透明感のある酒質を表現することが出来ます。ALPHA 風の森シリーズでは主に奈良県産秋津穂を使用し、それぞれの品質設計に応じて同じお米で酒質の造り分けを行なっております。秋津穂の醸造適性の高さを物語るものです。
―露葉風―
もう一つ、奈良県産で「露葉風」という名前の酒造好適米にも力を入れて取り組んでいます。こちらは、JA奈良県と奈良県酒造組合の契約栽培米になっています。
奈良県で唯一生産される酒造好適米「露葉風」は昭和38年に愛知県農米試験場で「百露」を母に、「
昭和40年代にはその生産量はピークに達しましたが、栽培が困難なことから一旦は栽培が途絶えました。
しかし、その露葉風を知った奈良県内の長龍酒造の思いを受けて、平成13年度より栽培が復活。現在は露葉風の増産、品質向上に向けて、農家、奈良県酒造組合、奈良県、JAならけんの4者が集まり、「露葉風栽培会」を定期的に開催するまでになりました。私たち油長酒造も平成18年度から使用し始めて、現在も風の森ラインナップの一つとして力を入れています。
露葉風で造るお酒の特徴は、複雑味あふれる豊かな舌触りです。酸味や適度な渋みをともなう特徴は、これからの風の森の醸造においても重要な要素の一つです。
秋津穂農家マップ
私たちの大切な秋津穂米は奈良県内の約30軒の農家に生産していただいています。
こちらのMAPには生産者の場所とお名前を記載させていただきました。
生産者の顔を思い浮かべいただくお酒もまた格別です。