暑い日が少しおさまり、秋の訪れを感じる今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
風の森では現在、2024年に稼働を予定しています、
【棚田を100年先に繋げる葛城山麓醸造所】の建築、およびその酒造りへ向けた準備の真最中です。
この新しく出来上がる酒蔵を拠点とし、地域の農業と一体となり、棚田にフォーカスを当てていくことで、後継者不足などで窮地に陥りそうな棚田を、100年先に日本酒の持つ力で繋げていく。
そういう想いで取り組んでおります。
この地で造る酒は無農薬化学肥料不使用の秋津穂米を中心に据えていきます。
それゆえ今までよりももっとそのお米の持つ個性を引き出したいと思っています。
今までの風の森807シリーズ以上に米を磨かず、複雑味、透明感、果実感が一体となった風の森の醸造法を模索していかねばなりません。
そこで今回、精米歩合90%のお米を用いた風の森を試験的に醸造いたしました。
現在の807シリーズの延長に存在しながらも、より一層複雑みと透明感を併せ持つ風の森を目指しています。
稲は大地のエネルギー(でんぷんタンパク質ミネラル脂質)を蓄えそれを米粒の中に閉じ込めているわけですが、精米歩合の数字が低くなるにつれ、でんぷんを除く大地のエネルギーは急速に減少します。
減少させることで吟醸型の酒造りをしやすくしてきたとも言えます。
スムースで滑らかな品質と引き換えに、一方でせっかくお米の中に蓄えられた大地のエネルギーが削ぎ落とされてしまい、原料由来の個性を表現しにくくしてきたとも考えられます。
グラフを見てみると精米歩合80%と90%ではそのお米の持つエネルギーの差は段違いに異なります。
酒造りが難しくなることは間違い無いです。
しかし、美しい里山環境の中で育て上げられたお米の個性を最大限に表現するための一つの方法が、今までよりも一層磨かない精米歩合でこのエネルギーの差を存分に生かし、お酒造りをするということなのです。
それゆえ精米歩合は90%。
今後の油長酒造の展開に向けてなくてはならない試験醸造によって出来上がったお酒です。
ごく少数量の生産になりますので、ご興味を持たれたらご賞味いただけますと幸いです。
油長酒造株式会社 13代目 蔵主 山本長兵衛
風の森 試験醸造酒
アルコール分14%
使用米:非公開
精米歩合90%
720ml
2023年9月28日出荷