『今年2023年、風の森は25周年を迎えることができました』
1998年、「風の森」は生まれました。
私の父、12代長兵衛の、“地元の秋津穂米を使って出来上がった搾りたてそのままのお酒を地元の方に楽しんでいただく”
そのような思いでこの世に生まれた風の森。
その名の由来はまさに秋津穂米が育った地域の風の森峠。
今も風の神様(シナツヒコ)をお祭りした、風の森神社がその地に鎮座します。
そして今年2023年、「風の森」は25周年を迎えることができました。
今まで風の森を手に取ってくださった皆様に心より御礼申し上げます。
今回は風の森の25周年を記念した、
風の森 25周年記念 未来予想酒Ⅰ「5種の微生物」 のご案内です。
今回25年後の風の森をイメージして風の森 未来予想酒Ⅰを醸造いたしました。
テーマは「5種の微生物」。
多様な微生物の営みによって多重層化した香りや味わいを実現したいと思いました。
これは日本初の取り組みです。
日本酒は古代から近世にかけて、それぞれの時代の醸造家の知恵によって進化してきたものですが、
科学技術が発展していく近代以降、品質の向上、安定化を目的に、
2種類の微生物、麹菌と酵母のみで日本酒を造る時代に移行してきました。
しかし、このように醸された研ぎ澄まされた日本酒の魅力がある一方で、
私たち風の森は菩提酛や生酛のように乳酸菌が関与する日本酒の魅力もまた身近に感じてきました。
さらには中世の時代にはもっともっと色々な微生物がお酒造りに関わることで
日本酒の味わいがより深く豊かなものであったのではないかと、
油長酒造の取り組む水端プロジェクトの中でわかってきています。
そこで、今回の風の森 未来予想酒Ⅰでは、
一般的な日本酒は酵母、黄麹菌の2種、もしくは菩提酛や生酛のように
乳酸菌を加え3種の微生物で造るのですが、
これに加え、ピキア属菌、白麹菌にも活躍してもらいました。
①酵母(7号) Saccharomyces cerevisiae →アルコール分と香りを作り出す。
②黄麹菌(国菌) Aspergillus oryzae →お米を分解して甘味や旨味を生み出す
③正暦寺乳酸菌(正暦寺で発見)Lactococcus lactis lactis →厚みのある酸味の乳酸を生み出す
④ピキア属菌(酵母の一種) Pichia spp. →香りに幅を生み出す。
⑤白麹菌(焼酎麹) Aspergillus kawachii →爽やかな酸味のクエン酸を産み出す
※風の森シリーズでは①②、風の森ALPHAシリーズでは①②③を使用。
未来予想酒Ⅰでは①から⑤の全ての菌が活躍します。
そのため、従来の風の森と比較しても際立った酸味と、
洋梨のような豊かな香りときれいな余韻を楽しむことができます。
このように25年後の世界では、多様な微生物を日本酒造りにカムバックさせることで、
一層豊かで深みのある日本酒を造ることができる時代になるのではないかと未来予想します。
25年後の風の森に想いを馳せ、お楽しみくださいませ。
※ピキア属菌(酵母)とは
今回、清酒酵母(サッカロマイセス属)に加え、違った属の酵母ピキア属菌も発酵に用いました。
この酵母の一種は油長酒造が取組む中世の寺院醸造を現代に再現した甕仕込みのブランド【水端】のもろみの中でも見つかっています。
今回このかつての日本酒醸造の中では活躍していたであろう、酵母ピキア属菌を酒造りに導入することで香りに幅を持たせ、
味わいに奥行きを与えることに成功しています。
令和5年4月吉日
油長酒造株式会社 代表取締役
十三代 山本長兵衛
風の森 25周年記念 未来予想酒Ⅰ
奈良県産秋津穂100%使用
精米歩合50%
アルコール分 14度
無濾過無加水生酒
720ml入
令和5年4月14日蔵出し