今日は秋津穂のストーリーを綴ってみます。名前の由来は、古くは日本の国の意味にも用いられた「秋津島」と、イネの「穂」から名付けられました。アキツとはトンボの古い呼び名です。地元御所にはこの名を冠した都跡があります。六代孝安天皇の宮を『古事記』は『葛城室之秋津嶋(かつらぎむろのあきつしま)』『日本書紀』は『都を室(むろ)の地に遷(うつ)す。これ秋津島宮という』と記しています。このようなご縁もあることが、原料米として秋津の名を冠した秋津穂に私たちが取り組み続ける理由の1つでもあります。
風の森の生い立ち
地元をはじめ様々な地域の酒販店の皆様、ファンの皆さまのご協力もあり、風の森というお酒は1998年に生まれました。その頃、地元の ”風の森峠” 付近の美しい棚田で広く生産されていたお米が秋津穂なのです。この秋津穂を使って、お客様に気軽に日本酒を楽しんで頂けるよう、搾ってそのままのイキイキとした生酒を提供したいというのが、風の森の基本コンセプトです。当時のコンセプトそのままに現在も酒造りを行っております。
現在、風の森の代表的な原料米として使用している奈良県産秋津穂はその全量を地元奈良県の約30軒の契約栽培農家の皆さまに生産をしていただいております。秋津穂は奈良県の気候風土に非常に適しており、昭和40年代より広く生産されていたお米です。中山間地での栽培適性も高く、現在の契約栽培エリアもほとんどが中山間地域です。
ヤマビコと日本晴をかけ合わせた品種で、玄米の粒の大きさは日本晴より大きく、中大粒であり、光沢があるのが特徴です。食味だけでなく醸造適性も非常に高く、透明感のある酒質を表現することが出来ます。ALPHA 風の森シリーズでは全て奈良県産秋津穂を使用し、それぞれの品質設計に応じて同じお米で酒質の造り分けを行なっております。秋津穂の醸造適性の高さを物語るものです。
今後も油長酒造では農家の方々と共に歩み、持続性のある農業と酒造業との関わりを模索してまいります。奈良の地の米、地の水、地の風土を最大限に表現した地域に深く根ざした酒造りを次世代へめがけて進めて参ります。