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いつも⾵の森をご愛顧いただき誠にありがとうございます。

風の森では今年2024年に、【棚田を100年先に繋げる葛城山麓醸造所(山麓蔵)】の稼働を予定しています。
いよいよ5月に建屋が完成し、機器の搬入を終え、稼働への準備を着々と進めております。
この新しく出来上がる酒蔵を拠点とし、地域の農業と一体となり、棚田にフォーカスを当てていくことで、後継者不足などで窮地に陥りそうな棚田を、100年先に日本酒の持つ力で繋げていく。
そのような想いで取り組んでおります。

この地で造る酒は、無農薬化学肥料不使用や減農薬の秋津穂米を中心に据えており、それゆえ今までよりももっとそのお米の持つ個性を引き出したいと思っています。
そこで昨年より、今までよりも磨かない、精米歩合90%前後のお米を用いた風の森を御所まち蔵で試験的に醸造しております。
第一弾の「風の森 試験醸造酒」、試験醸造の第2弾でもある「風の森 風の森列車で行こう」、そして今回ご案内するお酒が、
第三弾となる「風の森 試験醸造酒ver.3」です。

今回のテーマは「軟水仕込み」
山麓蔵で仕込みに使う水は、御所まち蔵に湧き出る超硬水の地下水を使用します。
山麓蔵が位置する葛城山麓地区の棚田には山からの湧水が流れますが、この水は量が限られ大変貴重であり稲作など農業に用いられるため、酒の仕込水は御所まち蔵から持ってゆきます。
しかし、今後もし農業の閑散期などに山からの湧水を使用できる可能性があればと、今回、山からの湧水と同じ、軟水を用いて仕込みました。

風の森では、普段、ミネラル豊富な超硬水の仕込水を用いることで、醪の初期段階から旺盛な発酵の立ち上がりを実現しています。
しかし今回は、仕込み段階では、軟水処理した仕込水を用いることで、栄養豊富な低精白米による旺盛な発酵を抑え込む役割を期待しました。
また、醪段階の追水には超硬水を用い、酵母の発酵力が弱まってきた際のブースターとして用いました。
性質の異なる2種類の水を用いることで、酵母へのアクセルとブレーキを場合によって使い分けるような、新たな醸造法を模索いたしました。

香りは磨かない米を用いることで普段より増した印象で白ブドウを想わせます。
はっきりした甘さにお米由来の複雑味ある豊かな味わい。
90%精米でありながらも風の森らしい瑞々しさを表現しております。

新しい蔵の稼働に向けて、醸造技法についても日々研鑽を積んでおります。
油長酒造の今後の活動にご声援をいただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

油長酒造株式会社 13代目 蔵主 山本長兵衛


風の森 試験醸造酒ver.3
奈良県産秋津穂100%使用
精米歩合90%
アルコール分14度
無濾過無加水生酒
720ml
7月26日出荷